2液混合ディスペンサーや自動塗布装置の設備投資は、品質向上や省人化に直結する一方、初期費用が大きな課題となります。そこで検討したいのが、国や自治体の「補助金・助成金・税制優遇」の活用です。本記事では、2液混合設備の導入に使える支援制度の全体像から、採択率を高める申請書の書き方、スケジュールにおける注意点まで詳しく解説します。
2液混合ディスペンサーや付帯設備の導入で活用できる代表的な支援制度は、主に以下の3つです。
どの制度が最適かは「手作業による人手不足解消(省力化)」か「新製品に向けた高度な塗布技術の導入(ものづくり)」など、自社の導入目的に合わせて選択する必要があります。まずは自社の課題と照らし合わせ、どの制度の目的と合致するかを検討しましょう。
中小企業省力化投資補助金は、IoTやロボットの導入による「省力化」を推進し、人手不足を解消するための補助金です。2液混合ディスペンサーの場合、「従来手作業で行っていた計量・攪拌(かくはん)・塗布作業を自動化し、作業時間を大幅に削減する」というストーリーが対象になります。
省力化目的の補助枠には、国指定のリストから選ぶ「カタログ型」と、専用設計の「一般型」があります。ディスペンサー単体や標準的な卓上ロボットなら、手続きが簡素なカタログ型から選ぶのがスムーズです。一方、既存ラインに組み込む大型自動塗布装置や特殊ノズルが必要なシステムは、一般型(または別補助金)として独自の課題解決をアピールして申請します。
この補助金で最も重要なのは「省力化効果を具体的な数値で示す」ことです。「作業が楽になる」といった定性的な表現ではなく、以下のように定量化します。
現状の課題と導入後の効果を明確な数値で比較することが採択への近道です。
「ものづくり補助金」は、単なる人手不足の解消ではなく「革新的な製品・サービスの開発」や「生産プロセス改善」を目的とした投資を支援する制度です。2液混合ディスペンサーを申請する場合、以下の切り口が有効です。
設備導入が「自社の競争力強化」や「新市場への参入」にどう繋がるか、事業計画の説得力がポイントです。
補助金のように直接的な現金支給はありませんが、法人税等の負担を大きく軽減できるのが「税制優遇制度」です。代表例が「中小企業経営強化税制」です。
一定要件を満たす機械装置を導入した場合、「即時償却(設備投資額の全額をその年の経費として計上)」または「10%(または7%)の税額控除」を選択できます。黒字で法人税額が大きい企業にとって、即時償却による節税効果はキャッシュフローの改善に直結します。
利用には設備取得前に「経営力向上計画」を作成し、主務大臣の認定を受ける必要があるため、税理士や設備メーカーとの早期連携が不可欠です。
補助金の審査員は塗布設備の専門家ではないため、専門用語を並べるより「投資効果が誰にでもわかる数値根拠」を示すことが重要です。採択されやすい事業計画書には、以下の3つの数値が含まれています。
「現場の課題」→「機械性能による解決」→「経営的メリット」を数字で繋ぐことで、投資の妥当性を強くアピールできます。
補助金活用において、最も陥りやすい落とし穴が「スケジュール認識のズレ」と「資金繰り」です。
【基本スケジュール】
公募開始 → 申請 → 採択発表 → 交付申請・決定 → 設備の発注・納入・稼働 → 実績報告 → 補助金の入金
原則として「交付決定」が下りる前に発注・契約した設備は補助対象外になります。「早く設備が欲しい」とフライングでメーカーに発注しないよう注意してください(※制度により事前着手承認制度がある場合もあります)。
補助金は「後払い」です。設備を納入し、メーカーへの支払いが完了し、実績報告を行った後(設備導入から数ヶ月〜半年後)に入金されます。一時的には設備代金の全額を自社で立て替える必要があるため、つなぎ融資などの資金計画を金融機関と事前にすり合わせておくことが必須です。
Q1. 単なる老朽化による設備の買い替えでも補助金は使えますか?
A1. 原則として、単なる「更新(買い替え)」は対象外です。「従来機より高精度な塗布が可能になり新市場に参入できる」「作業スピードが倍になり大幅な省力化に繋がる」など、新たな付加価値や明白な生産性向上が必要です。
Q2. 複数の補助金を同時に申請(併用)することは可能ですか?
A2. 同じ設備(2液混合ディスペンサー1台)に対し、国庫を財源とする複数の補助金を二重に受け取ることはできません。ただし「設備Aはものづくり補助金、設備Bは省力化補助金」のように、対象事業や対象設備が完全に別であれば申請可能なケースもあります。
2液混合ディスペンサーの導入に補助金や税制優遇を活用することで、ワンランク上の設備投資が可能になります。スムーズに検討を進めるため、以下の3ステップをまずは実行しましょう。
補助金の公募期間は限られています。設備導入の検討を始めた段階で、同時に制度活用についても動き出すことが成功の秘訣です。
参照元:中小企業庁公式HP(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)
参照元:中小企業省力化投資補助金(https://shoryokuka.smrj.go.jp/)
参照元:中小企業庁公式HP(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/kyoka_zeisei.html)
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー