防爆とは文字通り「爆発を防ぐ」という意味であり、例えば引火性のある液体が蒸発することで発生する気体や、可燃性ガス、また粉塵などによる爆発や火災に対する事故を防ぐことです。
防爆仕様とは、そういった危険物を扱う場所(危険場所)で電気機器などによる点火リスクをゼロにするための対策や、そのような安全策を施された機器の特徴などを意味しています。
防爆仕様の2液混合ディスペンサーでは、使用する引火性の液剤やそれに伴って発生する可燃性ガスなどに対して、モーターの回転やスイッチの切り替え時などに発生する微細な電気火花が引火しないよう、様々な対策が施されています。
具体的な安全機能や構造としては以下のようなものがあるため、防爆仕様2液混合ディスペンサーの導入時にはどのような仕組みが採用されているのか事前にチェックすることも必要です。
一般的な電動ディスペンサーの場合、内部機器の動作時や電源の切り換え時などに電気火花が発生して、それらが危険物に着火する危険性があります。そのため、防爆仕様の2液混合ディスペンサーでは電動駆動による攪拌を不使用とし、代わりに圧縮空気で攪拌羽根を動かす完全エアー駆動を採用したり、モーターや制御部を特殊な容器で密閉して万一に備える内圧防爆・耐圧防爆モーターを採用したりといった工夫が施されています。
モーターや電気部品が着火源になる電気的リスクの他に、攪拌羽根が物質を動かす際に起きる摩擦などで発生する「静電気」も火災や爆発を引き起こす重要な問題です。
そのため防爆仕様の2液混合ディスペンサーでは静電気を防ぐ工夫が徹底されており、発生した静電気を速やかに逃がすために素材へ導電体・導電性物質を使っていたり、装置全体のアース(接地)を確実に行って電流の回避ルートを確保していたりといったポイントが挙げられます。
そもそもモーター駆動や攪拌羽根の摩擦などの利用によって火災・爆発リスクが増大するのであれば、そもそも電気駆動や攪拌羽根を使用せず、流体の自然な動きや特性で混合する「スタティックミキサー」を活用することもアイデアの1つです。
また使い捨てタイプのスタティックミキサーであれば、危険物として扱うべき溶剤の残存処理などに関しても作業員の安全確保に有用です。
防爆仕様の2液混合ディスペンサーを必要とするケースとしては、一般的な2液混合ディスペンサーでは使用できない「危険物」を溶剤や液剤として取り扱う場合が考えられます。
どのような物質が危険物に指定されるかは法的に定められており、例えば以下のような物質を扱う場合、防爆仕様2液混合ディスペンサーを導入して適切な防爆対策を行わなければなりません。
| 材料の特性 | 具体例 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 揮発性溶剤を含む | 溶剤系接着剤、プライマー | 自動車部品の接着、フィルムのラミネートなど |
| 引火点が低い | 特定のウレタン、エポキシ樹脂 | 電子部品の防湿コーティング(ポッティング)など |
| 化学反応性が高い | リチウムイオン電池用電解液 | 電池製造プロセスなど |
危険物を扱う場所や、作業によって可燃性ガスが発生する恐れのある場所などは「危険場所/防爆エリア」として指定され、そのような場所には法令の定める「防爆検定」の基準を満たした防爆仕様機器しか設置することが認められません。
そのため、防爆エリアに2液混合ディスペンサーを導入・設置する場合もそれぞれの条件や状況に対応する製品を選択しなければならず、あらかじめ防爆エリアのレベルや対応可能な機器の特性などを把握しておくことが重要です。
なお、危険場所の分類としては「特別危険箇所」・「第一類危険箇所」・「第二類危険箇所」の3つがあります。
※引用元:経済産業省「プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン」【PDF】 https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/hipregas/files/20200121_1.pdf
引火性のある溶剤や危険なガスが発生する液剤などを使用する場合、それぞれのリスクに対して一定の性能を備えた防爆仕様の2液混合ディスペンサーを導入しなければなりません。
適切な防爆仕様2液混合ディスペンサーを選択することは、法的なリスクを回避して健全な事業運営の土台を作るだけでなく、深刻な人材不足が社会問題解かしている現代日本において、作業員の安全を担保し離職率の低下などにつながる点でも重要です。
当サイトでは防爆仕様の2液混合ディスペンサーを含めて様々な製品の特徴やおすすめメーカーを紹介していますので、まずはTOPページの3選からご確認ください。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー