2液混合ディスペンサーを使用する際、適切な吐出量が安定しない「吐出量ばらつき(計量精度低下)」が発生する場合がります。
このページでは2液混合ディスペンサーにおける吐出量のばらつきの原因と対策をまとめていますので参考にしてください。
「吐出量ばらつき(計量精度低下)」とは、ディスペンサーから吐出される液剤の量が安定せず、ビード幅や塗布量が不均一になってしまう状態です。特に2液混合ディスペンサーの使用時に吐出量のばらつきが生じると、主剤と硬化剤の混合比の乱れや硬化品質の劣化につながります。
吐出量のばらつきと一口に言っても実際の状態は様々です。例えばワークごとに塗布量が異なったり、一定のタイミングだけ吐出量が不安定化したり、連続稼働をする中で不均一が発生するといったこともあるでしょう。
吐出量のばらつきが発生する場合、そこには必ず原因があります。そのため放置しても自然に問題が解決することは基本的になく、むしろ状態の悪化や不良品の量産、最悪の場合は生産ラインの停止や機器の破損といったリスクの深刻化につながっていきます。
吐出量のばらつきが発生する原因には複数のものが考えられます。
タンク内の液量変化やポンプの状態によって、液剤の吸い上げや押し出しに重要な圧力に異常が発生してしまい、結果として吐出量のばらつきが生じることも考えられるでしょう。
タンク内に空気が混入していたり配管の気密性に問題が生じていたりすれば、気泡が発生して適切な吐出量を維持できません。また特に高粘度の液剤では吸い込み不良が発生するといったこともあります。
使用する液剤によっては温度や湿度の影響で硬化速度が速まり、作業中に粘度が高まり過ぎることもあります。何らかの原因で想定されている適正な粘度の範囲から逸脱してしまうと、必然的に適量の吸引や吐出を継続することはできません。
2液混合ディスペンサーを使用していると、消耗品が劣化して不具合が生じることもあります。消耗品の摩耗や劣化が作業に影響しないよう、日常的なメンテナンスを行っておくことが重要です。
液剤の硬化によってノズルに液剤が詰まってしまったり、ミキサー内の流量抵抗が増加して適切な動作が妨げられたりすることも吐出量のばらつきの原因になり得ます。
目的とする吐出量に対して事前チェックや設定が正しく行われていなかったり、チェック時の設定と実際の作業条件が異なっていたりすれば、当然ながら想定していた吐出量を再現することもできません。
使用する液剤の種類や特性に対して、混合方式やミキサーのタイプが合致していない場合、2液混合ディスペンサーとしての性能を正確に発揮させることは困難です。液剤のポットライフに合わせた2液混合ディスペンサーや混合方式を採用することが大切です。
圧力の変動や異常が原因だと想定される場合、適切な条件を整えて標準化することから始めます。そして、その上で圧力の不均衡が発生する場合は機器や作業手順に問題が発生している可能性が高まります。
また予防対策として圧力監視システムを導入するといったことも有効です。
気泡やエアの混入が原因の場合、材料の補充や交換時の作業手順、エア抜きのマニュアル、液剤の条件と機器の設定などを見直して、改めて作業員で正しい方法を共有してください。また消耗品の劣化や配管・継手の損耗などもチェックすることが重要です。
液剤の粘度変化については作業場の温度管理や湿度管理を適正化すると同時に、液剤の保管方法に関しても見直します。また使用期限や使用量を踏まえた発注・在庫管理もポイントです。
2液混合ディスペンサーを使い続ける中で消耗品や部品の劣化・交換といった作業は不可欠です。そのため普段からメンテナンスなどを行って、吐出量のばらつきが発生する前に異常兆候を発見できる体制を整えましょう。またおかしな点を発見した際の報告体制を整えておくことも大切です。
ノズルやミキサーの詰まりなどが発生しないよう、2液混合ディスペンサーを使用した後の洗浄や残液の処理の仕方を見直すと共に、吐出を行うタイミング(作業停止時間)についても長くなりすぎないようスムーズな作業体制を構築しましょう。
機器の設定条件や校正作業について明確な基準を設けてマニュアル化しておき、また条件を変更した際には必ず適正値になっているか都度確認をすることが必要です。
材料の特性とポンプやミキサーの種類がマッチしていなければ、吐出量のばらつきを含めて様々なトラブルのリスクが増大します。そのため適切な機器と材料のすり合わせを行い、それでも状態が改善しなかったり、どちらか一方の変更・改善が難しかったりする場合、抜本的な設備仕様の見直しを検討すべきかも知れません。
実際の作業現場で吐出量のばらつきが発生した場合、どのようなタイミングで不安定になるのか、また吐出量が不均一になる液剤やノズルはどの種類なのか、といった状況を正確に把握・報告することが必須です。
吐出量ばらつきが発生したとして、原因を追及するためには個々の作業や工程を切り分けて確認することも必要です。切り分けの手順としては、例えば以下のような流れになります。
吐出量のばらつきは単一の原因だけで生じるとは限らず、複数の原因によって複合的に発生している可能性もあります。そのため、最初から特定の原因に決めつけるのでなく、全体的な確認作業を行って1つずつ原因を確かめながら、改めて異常が発生する際の条件を比較検証するようにしてください。
日常的な点検は2液混合ディスペンサーの使用前や使用後に行い、結果を日報などへまとめて保管しておくことが大切です。日常的に見るべきポイントとしては圧力や液剤の残量、エアの混入の有無、ノズルの状態や各部の漏れといったものがあります。
一定の期間ごとに日常点検よりも詳しい点検(定期点検)を実施することも肝要です。定期点検ではあらかじめ保全項目をリストアップしておき、消耗品や劣化した部品の交換、配管や継手など各パーツの点検、また校正条件のチェックなどを行います。
2液混合ディスペンサーの使用方法についてもオペレーションを標準化して、それを作業マニュアルとして全体に共有しておくようにしてください。
なお、マニュアルについては専門知識やスキルがなくても分かりやすいよう、写真やイラストも交えながら具体的かつ簡潔にまとめることがポイントです。
また吐出量ばらつきなど異常を発見した場合の対応や報告の流れについても事前に整備しておきましょう。
作業手順や各種条件を見直しても吐出量ばらつきが再発・頻発する場合、そもそも現行設備が材料の特性に適合しているかどうか、メーカーの担当者など専門家にも相談しながら改めて検証してください。
異常を検知して機器を停止するセンサを導入したり、吐出量ばらつきが発生する際の条件を記録してデータ分析から状況を検証したりといった施策も、不良品の量産やロスの拡大を防ぐ上で重要です。
メーカーの担当者やサポート窓口へトラブルを相談する際に詳細を説明できるよう、使用している材料や2液混合ディスペンサーのモデルの他、粘度帯や混合比、室内環境など作業条件をまとめておきます。加えて、どのようなタイミングで不具合が発生するのか、再現性の有無などについても記録しておきましょう。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー