さまざまな液体を正確に吐出できるディスペンサー。しかし使用方法や環境に問題があると、液だれが起こってしまう場合があります。ディスペンサーの液だれが発生すると、掃除などのメンテナンスの手間が増えてしまいかねません。少しでも手間を省きたい方は液だれ防止に努めましょう。
このページでは、ディスペンサーの液だれが起こる原因や防止方法を解説します。
ディスペンサーの液だれが発生する原因は主に2つです。
まず考えられる原因は液体の表面張力です。表面張力は液体が表面を小さくしようと動く性質をいいます。一般に表面張力が強い液体は垂れにくく、弱い液体は垂れやすくなります。そのため、ディスペンサーで使っている液体の表面張力が弱いと、吐出後に液だれが起こる可能性があります。
もう一つの原因はノズル・パイプのサイズが合っていないことです。ディスペンサーはノズルなどを通して液体を吐出しますが、サイズが合っていないと余計に液体が出てしまう場合があります。その結果、行き場を失った液体が垂れてしまうことがあるのです。また、垂れた液体が製品に付着し、不良品を発生させてしまう可能性も否定できません。
ディスペンサーの液だれを防止したい方は、以下の対策を検討してみましょう。
ディスペンサーの液だれが発生した時は、ノズル・パイプのサイズが適切か確かめてみましょう。サイズが合っていない場合、適合サイズのものに交換する必要があります。また、液体によって粘度が変わりますので、液体に合わせて使い分けることも大切です。
温度によって粘度が変化する液体の場合、使用環境の温度管理を徹底しましょう。適切な温度を保つようにし、液だれが起こらない粘度の維持に努める必要があります。もしディスペンサーの液だれが発生した時は、温度が適切かチェックしてみるのもよいでしょう。
液だれ防止対策が施されたディスペンサーを使うことも大切です。ディスペンサーの中には、液だれ防止弁や機構を備えた製品もあります。ノズル・パイプのサイズを変えられない時や、温度管理が難しい時は検討してみましょう。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
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製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー