2液混合ディスペンサーは、主剤と硬化剤など2種類の液体を決められた比率で混合し、正確に吐出する装置です。自動車部品の製造現場では、接着や封止、ポッティング、コーティングなどで広く活用されています。2液混合ディスペンサーの導入により、手作業では難しい高精度な混合と均一な塗布が実現し、製品品質の安定化や生産性向上に大きく貢献しています。
自動車部品は厳しい耐久性や安全性が求められるため、接着や封止材の混合比や塗布量のわずかな誤差が不良やトラブルにつながります。2液混合ディスペンサーは、こうしたリスクを最小限に抑え、安定した品質管理を可能にするため、業界において不可欠な存在となっています。
株式会社エイ・エム・ケイは、2液混合ディスペンサー「マゼダス」シリーズを展開し、電子基板や自動車部品の製造現場で多数の導入実績があります。たとえば、電子基板へのエポキシ充填工程では、真空注型技術と3軸ロボットノズルを組み合わせることで、基板の裏や部品下部まで気泡のない充填を実現。これにより、製品の信頼性向上と生産タクトの短縮を両立しています。
「マゼダス」は、比率計量から混合・攪拌・吐出までを全自動化し、吐出精度±0.1%、混合比率100:100~100:1、幅広い粘度や吐出量に対応。タッチパネル操作やオートチューニング機能、最大30パターンの吐出登録など、高度な機能も備えています。メンテナンスフリー設計や迅速なサポート体制も、現場の安定稼働を支えています。
参照元:エイ・エム・ケイ公式HP(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/movie/)
自動車部品業界における2液混合ディスペンサーの導入は、品質・生産性・安全性の向上に直結する重要な施策です。株式会社エイ・エム・ケイやナカリキッドコントロールの事例からも、現場課題の解決や製品競争力の強化に大きく貢献していることがわかります。導入時は、液体特性や装置性能、サポート体制などを十分に検討し、自社の生産現場に最適なディスペンサーを選定することが成功の鍵となります。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
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製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー