エポキシ剤やシリコン剤など2種類もしくは複数種類の液剤を手作業で混合し、その混合液を手作業で塗布するといった技術は、そもそも正確な分量測定や十分な混合技術といおったものが必要である上、実際の塗布に関しても作業者の熟練度はもちろん様々な気候条件や素材条件によって品質が左右されます。
混合剤の分量を正確に測定したり、作業のための準備を整えたりと、職人の手作業による塗布では実際に液剤を対象へ塗布している時間の他にも様々な時間が必要であり、長期的に見れば大きな時間的ロスへつながります。
用意した混合剤や混合液がそもそも多すぎたり、足りなかったために新品を開封して追加した結果、今度は余ってしまったりと、材料ロスが発生しやすいことも手作業による課題です。
特に小さな部位への塗布作業や高度な品質を求められる精密作業においては、作業そのものが神経を使うため精神的なストレスがかかります。加えて、同じ作業を続けることで作業員の手や体に負担を与えたり、それによって腱鞘炎などの労働災害のリスクが上昇したりすることもあるでしょう。
2液混合ディスペンサーのメリットとして、必要な液剤を機器が正確に分量を測定して混合してくれることがあります。また吐出する際も一定の吐出量を維持できるため、作業者が安定した作業環境を得られることはメリットです。
人体に有害な液剤なども2液混合ディスペンサーが自動的に混合してくれるため、作業員に対する様々な不安やリスクを解消しやすくなることは重要です。また最初の条件設定を正しく行えば、毎回の混合時に分量などをチェックする必要がありません。
ポータブル2液混合ディスペンサーでは、てこの原理やバネの力などを活用して、作業員が小さな力で塗布作業を行えるように設計されています。これにより数多くの繰り返し作業でも負担軽減を目指せることは強みです。
持ち運び可能なポータブル2液混合ディスペンサーであれば、作業時以外は別の保管場所へ置いておくことができるため、スペースの限られた場所でも導入しやすくなります。また複数の拠点や作業場所が存在する際にも各所で作業可能です。
ICチップや電子基板へのポッティングなど微少部品への精密作業では、慎重に作業を行っても手作業によるムラや品質のバラツキが発生しやすくなり、液剤のはみ出しによって製造不良になることもあります。その点、2液混合ディスペンサーを導入すると作業の正確性や品質が安定し、製造ライン全体の効率が向上します。
自動車部品を製造する場合、様々なポイントへ接着剤を塗布する必要があり、完全な手作業では時間がかかる上に作業員の負担も増大していくことが避けられません。また長時間の作業では液剤の硬化時間を考慮して、混合作業の頻度が増えることもあります。
ポータブル2液混合ディスペンサーを利用することで混合時間や頻度の課題を解決し、また材料のロスや作業員の負担軽減を叶えられます。
2液性樹脂や新しい接着剤の研究開発や試作では、様々な条件の下で複数の液剤を混合し、その硬化時間や接着強度などを比較しなければなりません。その条件管理は正確なデータ収集や研究開発に不可欠であり、高精度な混合・吐出ができて実験時間を圧縮できるポータブル2液混合ディスペンサーは有用です。
2液混合ディスペンサーは便利な機器である一方、大型のものは導入コストや設置スペースといった条件がネックになることもあるでしょう。その点、持ち運びできるポータブル2液混合ディスペンサーであれば利便性を追求しつつも導入条件を緩和させ、費用対効果を高めることができます。
当サイトでは持ち運びできる2液混合ディスペンサーを含めて様々なタイプを紹介していますので、ぜひそれぞれのメリットや特徴を知る参考にしてください。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー