2液混合ディスペンサーは2種類の液剤・液体を自動的に混合・攪拌し、適切な量を吐出するための装置の総称です。2液混合ディスペンサーは飲食業界や製薬業界から、美容業界、産業用機器業界など様々な業界で活躍しており、蓄電池やコンデンサといった工業製品を製造する工程でも複数の導入メリットを発揮できる点が強みです。
蓄電池・コンデンサ事業業界では、それらの製造に多種多様な溶媒や溶剤、樹脂材を使用しなければならず、2液混合ディスペンサーを導入する際には最初に作業ニーズを明確化した上で、条件に適合する2液混合ディスペンサーを選択することが必要となります。
株式会社エイ・エム・ケイは、電子基板内蔵ケースのモールディングに活用できる2液混合ディスペンサー「マゼダス(MAZEDAS)」を提供しています。マゼダスは、2液性樹脂の比率計量、混合、攪拌、吐出までの全工程を自動化できる産業用ディスペンサーです。
産業電気業界の大型コンデンサでは、従来から製品内に気泡が残りやすく、不良率が高いという課題がありました。この課題に対し、エイ・エム・ケイは真空圧力を制御できる3槽式の真空注入装置を導入。充填・停止・再充填といった工程を真空圧に応じて自動制御することで充填効率を大幅に向上させました。その結果、製品内部の気泡はほとんどなくなり、不良率を1%以下にまで改善することに成功しています。
参照元:エイ・エム・ケイ公式HP(https://c36rtwd2.lp-essence.com/#case)
株式会社日本省力技術研究所ではコンデンサの製造工程に活用可能な2液混合ディスペンサーとして「二液混合吐出装置MGPディスペンサー」を提供しています。
同製品は2液混合ディスペンサーとXYロボットを組み合わせることで、コンデンサの防水・防塵などを目的としたポッティング工程を自動化することが可能です。
液剤としては2液性ウレタン樹脂を採用し、主剤と硬化剤をミキサーカートリッジで混合し、ワークをコントロールするXYロボットの動きに合わせて樹脂材を吐出します。またオプション機器としてミキサー温調器が提供されており、混合部の温度管理を適正化することで樹脂材の粘度を管理し、気泡の発生やワークへの巻き込みを回避しやすくなる点も強みです。
参照元:株式会社日本省力技術研究所公式HP(https://www.dispenser.jp/%e6%9c%aa%e5%88%86%e9%a1%9e/93/#02)
日本省力技術研究所の
2液混合ディスペンサー
について詳しく知る
蓄電池やコンデンサといった製品の製造では、工程に応じて様々な樹脂剤や溶剤が使用され、適切な生産品質を維持するためにはそれらの適切な混合や攪拌、吐出といった一連の作業が高精度に行われなければなりません。
2液混合ディスペンサーは複数の樹脂や薬品を安全かつ自動システムの制御下で使用することを可能にする産業用装置であり、蓄電池・コンデンサ事業業界においても多角的な導入メリットを期待できます。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
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製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー