このページでは、2種類の液体や液剤を自動的に混合し吐出する「2液混合ディスペンサー」でなく、さらに複数の種類の材料を混合できる「多成分混合ディスペンサー」について特徴や導入時の注意点などをまとめています。
2液混合ディスペンサーが文字通り「2種類の液体・液剤の混合」を目的としている点に対して、多成分混合ディスペンサーは「複数(多種)の液体・液剤の混合」を目的としている点で異なります。
主剤と硬化剤を混ぜて使用するタイプの接着剤などであれば2液混合ディスペンサーで対応できますが、複数の薬品や試料、樹脂などを混合・調整したいような場合、2液混合モデルだけでは一度の処理で対応することができません。一方、多成分混合ディスペンサーであれば最初から複数の材料を使用できるため、一度の工程で混合を完了することが可能となり、作業工程の短縮化や混合剤の品質変化の抑制といった複数のメリットを追求できます。
取り扱う液剤の種類が増えるほど各材料の混合比の管理や注入量・注入タイミングなどのコントロールがシビアになります。
粘度や比重といった物性が異なる材料は混ざりにくく、材料の種類が増えるほどに均一混合が難しくなることも課題です。
同時に扱う材料の数や種類に応じてシステムが複雑化する上、洗浄など定期メンテナンスも手間がかかります。
容積計量方式とは、装置内に設けられた計量室内において、ピストンが押し出した液体・液剤の体積分から容量を計算する方式です。ピストンの直径とストローク量によって体積が計算され、使用する材料の比重や密度ごとに適正な液量を設定しておくことで、混合や吐出の際にも適量をコントロールできるようになります。
容積計算方式は材料の粘度変化による誤差などを受けにくく、高精度の計量を行えることが特徴です。
容積計算方式を採用する場合、適切な容積計量ポンプや精密な計量室が不可欠であり、またピストンの動きを精密管理するサーボモーターや制御システムも欠かせません。
2液混合ディスペンサーでは、材料の液性をそのまま利用して攪拌・混合する「スタティックミキサー」と、内部の駆動装置で材料を攪拌する「ダイナミックミキサー」といった種類があり、それぞれに特徴や利点が異なります。
スタティックミキサーは幅広い材料に対応可能であり、駆動部が不要なため省エネ性やメンテナンス性にも優れています。一方、混ざりにくい材料の混合には不向きです。
そのため多成分混合ディスペンサーでスタティックミキサーを利用する場合、全ての材料の液性や特性を事前に確認しなければなりません。
スタティックミキサーについて詳しい内容は下記のページを御覧ください。
ダイナミックミキサーはモーターで攪拌翼を回転させ、強制的に材料を混合します。そのため混ざりにくい材料でも混合できますが、内部構造が複雑になるため製品価格が高くなりやすく、スタティックミキサーに比べてエネルギーコストやメンテナンスコストも高くなりやすい点がデメリットです。
ダイナミックミキサーについて詳しい内容は下記のページを御覧ください。
| 比較項目 | スタティックミキサー | ダイナミックミキサー |
|---|---|---|
| 混合原理 | 液流の力(静的) | 羽根の回転(動的・強制) |
| 混合力 | △ (粘度差が大きいと不向き) | ◎ (強力・均一) |
| メンテナンス | ◎ (使い捨てが多く洗浄不要) | △ (洗浄が必要) |
| ポットライフ | ◎ (ミキサー内残留が少ない) | △ (バッチ混合だと硬化リスク) |
| 導入コスト | 〇 | △ |
多成分混合ディスペンサーの購入や導入を検討する際、まずはメーカーに対して自社がどのような多成分混合ディスペンサーを必要としているのか、正確なニーズを把握して説明しなければなりません。
そもそも2液混合ディスペンサーの導入においても、使用する材料や作業工程などに関して「仕様条件」をまとめて、正しい要求書をまとめることが不可欠です。そして多成分混合ディスペンサーはさらに取り扱う材料が増えるため、必然的に要求内容も細かく詰めていくことが重要になります。
ここでは多成分混合ディスペンサーの要求仕様について、主に4つの観点からチェックしていきましょう。
どのような液体や液剤を材料として使用するのか、それぞれの物性や混合比、作業順序などを正確に共有することが不可欠です。例えばA・B・Cの3液を混合するとして、全てを同時に混合するのか、まずA液とB液を混ぜてからC液を注入するのかといった順序の検討にも各液の性質を知っておくことが欠かせません。加えて、混合比は常に一定なのか、条件に合わせて変更しなければならないのかといった点も考慮します。
その他にも液剤の種類によってシステムの素材や構造を考える必要も生じるでしょう。
液剤に関する情報は装置の選定における最重要パラメータです。
多成分混合ディスペンサーでは、材料を混合することが目的でなく、あくまでも混合剤を適切に吐出することが目的です。そのため混合後の液剤の吐出量や吐出速度、連続吐出が可能か否か、吐出する範囲といった点も必ず考慮しなければなりません。
なお材料の物性によって吐出に必要なシステムのパワーも異なります。
多成分混合ディスペンサーでは洗浄や液剤の交換など日常的なメンテナンスが欠かせません。そのためメンテナンスのしやすさやコストは生産性や作業効率に大きく関わる要素となり、例えば自動洗浄が可能かどうかは気になるポイントです。
また使い捨てミキサーを使用する場合、ランニングコストがどの程度になるかも事前にシミュレーションしてください。
多成分混合ディスペンサーを作業員が手作業で使用するのか、既存の生産ラインや自動機・ロボットシステムなどと連携させて自動化するのか、使用環境によっても製品の仕様条件は変わります。また自動化させる場合、そもそもどのようなシステムや設備に連携させるのかで必要なインターフェースや制御システムが異なることも覚えておいてください。
多成分混合ディスペンサーの導入にはクライアント側にも細かな知識や意識が求められるため、まずは2液混合ディスペンサーの性質や特徴について基本事項を把握しておくことが大切です。
本サイトでは2液混合ディスペンサーについて、おすすめの製品3選や各製品の特徴などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー