ディスペンサーはあらかじめ設定した分量の液体や液剤を提供する装置であり、2液混合ディスペンサーとは「2種類の異なる液体や液剤を適切な比率で混合する装置」です。
産業電子機器や制御機器などを製造する業界では、精密部品の製造工程をオートメーション化するために様々な産業機器が活躍しており、エポキシ樹脂や放熱塗料、絶縁コーティングなど多種多様な液剤を使う製造工程に2液混合ディスペンサーが導入されています。
株式会社エイ・エム・ケイでは電子基板内蔵ケースのモールディングに活用できる2液混合ディスペンサー「マゼダス(MAZEDAS)」を提供しています。
マゼダスは2液性樹脂について比率軽量を自動的に行い、さらに混合から攪拌、吐出までの作業を全て自動化することが可能な産業用ディスペンサーです。
電子機器製造においてもエポキシとウレタンという2種の樹脂材を使った混合工程を自動化する上、内部洗浄について洗浄溶剤を使用することなく主剤を使った片液置換洗浄を導入したことでポンプのメンテナンスフリー化にも対応しました。
参照元:エイ・エム・ケイ公式HP(https://www.amk-j.co.jp/case/case01/)
武蔵エンジニアリングは複数のディスペンサー(ディスペンスシステム)を開発しており、容積計量式ポンプを2基備えた「2液用容積計量方式」や高速連続吐出に対応した「モーノ方式」、ミキシング部を配した「JET方式」、さらに粘度差の大きな材料に適した「計量混合方式」など複数のニーズに合わせた製品をラインナップしています。
武蔵エンジニアリングの2液混合ディスペンサーは、例えば高性能PCのCPU放熱に重要な液体金属の塗布(※1)に活用されたり、次世代パワー半導体の放熱材料の塗布(※2)に活用されたりしています。またJET式であれば非接触式ディスペンス(※3)が可能となり、ワークに対する接触事故といったリスクを回避できる点も特徴です。
※1 参照元:武蔵エンジニアリング公式HP(https://www.musashi-engineering.co.jp/case/case_e.html)
※2 参照元:武蔵エンジニアリング公式HP(https://www.musashi-engineering.co.jp/case/case_a.html)
※3 参照元:武蔵エンジニアリング公式HP(https://www.musashi-engineering.co.jp/case/case_b.html)
武蔵エンジニアリングの
2液混合ディスペンサー
について詳しく知る
日本省力技術研究所では2液混合ディスペンサー(ID-200R・X020)をXYロボットシステムへ搭載することで、2液性エポキシ樹脂を使って電子部品(リレー)のケース封止工程を自動化しています。
2液混合ディスペンサーは温度調節機能も搭載しており、樹脂の吐出に際して適温を保つことで樹脂なじみを向上させ、ロボットアームの動きに合わせて適量かつ適切な樹脂吐出を再現している点が特徴です。
参照元:日本省力技術研究所公式HP(https://www.dispenser.jp/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/93/)
日本省力技術研究所の
2液混合ディスペンサー
について詳しく知る
電子基板や高性能PC、次世代パワー半導体など電子機器・制御機器は日進月歩で高性能化しており、それに比例して生産技術のハイレベル化も進んでいます。そのため放熱剤の塗布や液体金属の注入など、人間の手作業では対応困難な作業工程も増えており、2液混合ディスペンサーは作業工程のオートメーション化に加えて、品質管理の観点からも導入メリットを提供できることが強みです。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー