製造業から研究目的まで、幅広い分野で用いられている2液混合ディスペンサー。2つの液体を正確に吐出できるため、対応できる用途も多岐にわたります。複数の液体を同時に吐出・塗布したい時は、2液混合ディスペンサーの導入を検討してみましょう。
このページでは、ディスペンサーの概要や2液混合ディスペンサーの用途について解説します。
ディスペンサーとは、液体や薬剤などを吐出する装置の総称です。シャンプーやハンドソープのボトルもディスペンサーの一種であり、日常生活にも広く浸透しています。
一方、製造業や産業分野においては、液体を一定量吐出・塗布する装置のことをいいます。製造ラインで部品に接着剤を塗布したり、薬剤を充填したりする際に用いられています。
2液混合ディスペンサーは、2種類の液体を吐出・塗布できるディスペンサーのことです。主剤と硬化剤に分けて吐出できるため、産業分野では広く用いられています。以下では、2液混合ディスペンサーの主な用途をご紹介します。
まず挙げられる用途が自動車の製造ラインです。2液混合ディスペンサーは、主に下記の用途で使用されています。
2液混合ディスペンサーは、グリスやコーティング剤、ネジロック剤など薬剤の塗布に使われています。また、バッテリー液を充填する時に使用する場合もあります。
医療機器・製薬関連の製造現場においても、以下の工程で2液混合ディスペンサーが用いられています。
飲み薬を充填する時に使われたり、接着剤・薬剤を塗布したりする工程などで活用されています。
電子部品の製造工場でも活用されている2液混合ディスペンサー。主に下記の用途で使われています。
2液混合ディスペンサーは正確に液体を吐出できるため、小さな部品に接着剤を塗布することも可能です。また、ポッティングや基板へのアンダーフィル塗布も行えます。
2液混合ディスペンサーは食品関連においても多用されています。主な用途は次のとおりです。
麺へのほぐし油の塗布やジャムの充填、液体・調味料の充填などに用いられています。
以下のように、化粧品の製造でも2液混合ディスペンサーが使われています。
主な用途は、化粧水や洗顔フォームなどの充填です。2液混合ディスペンサーは液体の充填を得意とするため、化粧品の製造にピッタリといえるでしょう。
化学や研究関連でも活用する2液混合ディスペンサー。用途は多岐にわたりますが、以下のような用途で使われています。
薬剤の塗布や充填、吐出など、さまざまな使い方が可能です。2液混合ディスペンサーは、定量の液体を正確に吐出できるため、研究精度の向上にも寄与するでしょう。
主剤と硬化剤に分けて液体を吐出できる2液混合ディスペンサーは、製品によって強みや得意分野は異なります。例えば自動車や電子部品製造に適しているものもあれば、食品関連向きの製品もあります。これから2液混合ディスペンサーを導入する場合、目的・用途に合わせてしっかり選びましょう。
本サイトでは、目的別におすすめの2液混合ディスペンサーメーカーをご紹介しています。2液混合ディスペンサー選びにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
2液混合ディスペンサーは、自動車・医療・電子部品・食品・化粧品・研究分野など、多様な産業で活用されています。接着や塗布、充填など、正確な定量吐出が求められる工程に欠かせない装置といえるでしょう。
ただし、製品ごとに得意分野や対応できる液体が異なるため、導入時は自社の用途や目的を明確にしたうえで製品選びを行うことが重要です。なお、本サイトでは目的別におすすめのメーカーを3選で整理していますので、選定時の参考にしてください。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー