2液混合ディスペンサーでは、作業停止時や材料切り替え時に行う洗浄が不十分だと、内部に残留した材料が硬化して洗浄トラブルを引き起こします。洗浄の質はディスペンス品質を大きく左右するため、現場では避けて通れない重要項目です。
ここでは、洗浄トラブルで起こりやすい症状、原因、放置によるリスク、確認すべき要点、改善に直結する対策について詳しく解説します。
洗浄トラブルとは、ディスペンサー内部に材料が残留し、硬化物が付着して流路を妨げたり混合性能を落とす状態のことです。症状としては、吐出不安定・混合ムラ・圧力上昇・材料の色ムラ・ミキサー詰まりなどが挙げられます。
兆候としては、洗浄後の吐出にわずかな濁りが出る、ミキサー先端に異物が残る、ログに軽微な圧力上昇が記録されるなど、小さな違和感から始まります。
洗浄剤の量が少なかったり、洗浄時間が短い場合、内部に材料が残り硬化します。特に高粘度材料では短時間では完全に押し出せず、わずかな残留が後のトラブルにつながります。
ディスペンサー内部は複雑な流路形状が多く、洗浄剤が行き届きにくい箇所があります。単純な洗浄動作だけでは、混合室や接続部、逆止弁まわりなどに残渣が残ることがあります。
ミキサー内部のフィンに硬化物が残ると、洗浄剤がその奥まで届かず、詰まりの原因となります。洗浄可能タイプでも手順のバラつきがあると効果が半減します。
材料変更の際に前材料が残ってしまうと、化学反応や硬化が進行し、洗浄しても完全に除去できないケースがあります。特性の異なる材料同士を使用する場合は特に注意が必要です。
洗浄トラブルを放置すると、内部硬化による流路閉塞や混合ムラが発生し、製品の硬化不良や接着不良を招きます。特に電子部品封止では、内部空洞・絶縁不良・耐熱性低下といった重大な品質問題に直結します。
工程面では、突発的なライン停止、ミキサー・ホースなどの部品交換増加、材料ロス、作業者負荷の増大といった悪影響が蓄積し、生産効率を著しく下げます。
これらを確認するだけで、洗浄不良の発見が格段に早くなり、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
洗浄トラブルを避けるには、洗浄手順の統一と、ディスペンサー内部の流路に合った洗浄方法を選ぶことが重要です。ここでは効果の高い対策を紹介します。
材料の粘度や硬化速度に応じて洗浄量を増やし、洗浄時間を延ばすことで残渣を確実に除去できます。特に高粘度や反応性の高い材料では効果が大きいです。
逆流洗浄やパルス洗浄、一定圧の加圧を加えるなど、流路の複雑さに合わせた洗浄動作を追加すると、隠れた残留物を減らせます。
洗浄が不十分になりがちなミキサーは、短いスパンで交換することでトラブルを大幅に減らせます。分解洗浄できるタイプでは内部まで確実にクリーニングすることが重要です。
前材料が残ると硬化反応や化学反応が起こりやすく、洗浄が困難になります。材料切替時は規定の洗浄剤量を厳守し、複数回の洗浄で残渣を徹底的に除去します。
洗浄トラブルは、洗浄量不足、流路に合わない洗浄方法、ミキサー硬化残留、材料切替時の洗浄不足など複合的な要因で起こります。洗浄が不十分だと製品品質・生産効率の両面に深刻な影響が出ます。
洗浄条件の最適化・適切なミキサー交換・材料切替時の徹底洗浄によって、洗浄トラブルを大幅に減らし、ディスペンス品質を安定させることができます。日常作業の積み重ねが長期的な設備信頼性の鍵となります。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー