主剤と硬化剤の混合で硬化が始まる2液性接着剤などでは、液剤が固まるまでに塗布などを行わなければならず、このように液剤が使用可能な状態を維持できる時間を「可使時間(ポットライフ)」と呼びます。
2液性の接着剤や樹脂などを使用する上で可使時間の把握と管理は不可欠なポイントです。
主剤と硬化剤など、2種類もしくはそれ以上の液剤や薬剤を混合することで、化学反応による硬化を起こして接着目的に使用するような接着剤や樹脂の場合、材料を混合した後の時間経過によって粘度や硬度が増していき、やがて塗布作業などに使用できない状態にまで硬化してしまいます。このような、接着剤として使用可能になった時点から、その状態を維持できる間の時間を一般的に「可使時間」や「ポットライフ」と呼びます。
使用可能な状態を超えて固まりすぎてしまった接着剤は、もう本来の目的で使用できないため、2液性接着剤や2液混合型樹脂といったものを使用する場合、必ず可使時間の範囲内で作業を完了しなければなりません。
また可使時間は温度や湿度に大きく影響され、一般的に夏場(高温環境)は可使時間が短縮され、冬場(低温環境)は可使時間が長くなるといった特徴もあります。
ディスペンサーなどで液剤を吐出させるような場合、可使時間を過ぎると液剤の粘度が高まり過ぎて適切な塗布量を調整することが困難になります。
粘度が過度に上がった状態で接着剤を塗布しても、対象への密着性や接着性が低下してしまい、接着不良など品質低下を招くことも問題です。
混合部で液剤が完全に固まると混合機が作動できなくなり、場合によっては機器が破損したり生産ラインが停止したりといった事態につながります。
手作業で可使時間/ポットライフを完全に管理しようとすれば、常に「使い切れる分の材料を、その都度こまめに混合して使用する」という制約が課されるため、計量・混合の工程が増えて全体の作業効率も低下します。
また使い切れなかった材料は全て廃棄となるため、費用対効果が悪化することも問題です。
適切な2液混合ディスペンサーを使用すれば、以下のような機能により可使時間や作業効率を自動的に管理することが可能です。
液剤ごとにタンクが備わっている2液混合ディスペンサーであれば、使用する直前に液剤がミキサー部へ注入されて混合が行われるため、大量の液剤が無駄に消費されるリスクを低減できます。また、大量の液剤を一気に使い切るといった必要もなくなり、落ち着いて作業することが可能になることもメリットです。
2液混合ディスペンサーによっては、混合された液剤が吐出されるまで一定時間が経過した際に、作業者に可使時間の限界が迫っていることを知らせるアラーム機能などが搭載されているものもあります。
2液混合ディスペンサーの中には、可使時間が過ぎてミキサー内で液剤が硬化してしまう前に、自動的に古い液剤を「捨て打ち(パージ)」によって排出し、新しい液剤へ入れ替える「オートパージ機能(自動排出機能)」を搭載しているものもあります。
複数の液剤を混合して化学反応を起こすタイプの接着剤などでは常に、化学反応が発生してから液剤が使用不可能になるまでの間に作業を終えなければなりません。このように、各液剤の使用可能な状態を維持できる時間を「可使時間(ポットライフ)」と呼びます。
特に高機能樹脂剤のような高価な液剤ほど可使時間の制限がシビアになるため、手作業でなく適切な2液混合ディスペンサーを使用することで可使時間を適切に管理したり、材料の廃棄を防いだりすることが可能となります。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー