2液混合ディスペンサーを長期間運用していると、ポンプやバルブ、逆止弁、ギア部などの部品が摩耗し、吐出精度や混合品質が低下する摩耗トラブルが発生します。摩耗は徐々に進行するため気づきにくく、気づいたときには品質問題が表面化しているケースも少なくありません。
ここでは、摩耗トラブルで現れる症状、原因、放置するリスク、現場で確認すべきポイント、そして改善につながる具体的な対策まで詳しく解説します。
摩耗トラブルとは、長期間の使用や高粘度材料の連続吐出によって内部部品が擦り減り、吐出量の変動や流量低下が起こる現象です。主な症状として、脈動吐出、流量不足、混合比の狂い、材料の逆流、圧力不安定などが挙げられます。
兆候としては、圧力計の小さな揺らぎ、吐出量の微妙な低下、バルブ応答の遅れ、異音・振動の増加など、普段と違うわずかな変化から始まります。
フィラー入り材料や高粘度樹脂は流動抵抗が大きく、ポンプやバルブに負担をかけます。連続稼働が続くほど摩耗が進行し、吐出量のばらつきを引き起こします。
ポンプやバルブは消耗品であり、使用時間を超えて使用すると精度が低下します。摩耗が進んだ状態で使い続けると、混合比ずれや材料の漏れが発生しやすくなります。
材料中に微細な異物や硬化片が混ざっていると、内部部品を削って摩耗を促進します。スタティックミキサー内部の硬化物が剥がれて流路に入るケースもあります。
材料温度が低く粘度が高い状態では負荷が増え、部品摩耗が加速します。流路の潤滑効果が落ちることで、ギアやシールが短期間で劣化します。
摩耗トラブルを放置すると混合比が乱れ、硬化不良や接着ムラが発生します。特に電子部品封止では、絶縁トラブル・空洞発生・長期信頼性の低下など重大な問題につながります。
工程面では、急な故障によるライン停止、部品交換コストの増加、材料ロス、再検査・手直し工程の増加など、生産効率の低下を招きます。
これらをチェックすることで、摩耗の早期発見と部品交換タイミングの判断が容易になります。
摩耗を抑えるには、材料特性の安定化と、負荷がかかる部品のメンテナンスを計画的に行うことが重要です。ここでは現場で効果的な対策を紹介します。
摩耗しやすいポンプ・逆止弁・バルブは、使用時間に応じて交換サイクルを短めに設定することで精度低下を防げます。交換基準を明確にすることが重要です。
材料を一定温度に保つことで流動性が安定し、部品への負荷が減ります。加温タンクや保温ホースの導入が有効です。
材料供給ラインにフィルターを設置することで、異物による摩耗進行を抑えられます。材料交換時の異物混入にも注意が必要です。
ミキサー内部の硬化片が剥がれると異物となり摩耗が進むため、ミキサーは短い周期で交換し、安定した混合状態を維持します。
摩耗トラブルは、高粘度材料の連続使用や部品使用時間の超過、異物混入、温度不安定などが重なって発生します。摩耗が進むと混合不良や圧力異常を招き、製品品質と生産効率の両方に影響します。
部品交換・粘度管理・異物対策・ミキサー交換を徹底することで摩耗の進行を抑え、ディスペンサーの長期安定運用が可能になります。早期兆候を見逃さず、メンテナンスを計画的に行うことが重要です。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー