素材事業・環境事業とは様々な環境問題の解決や、環境負荷の軽減といった環境分野のニーズに対応する事業領域であり、環境汚染や関連物質の検出・検査を行ったり、さまざまな廃棄物や副次的産物などの資源を再利用して新素材を開発したりと、幅広い技術や目的が考えられます。
一方、2液混合ディスペンサーとは異なる性質の液剤や液体を自動的に混合・攪拌し、正確に吐出するための産業用機械であり、環境事業においては各種機器の製造工程に2液混合ディスペンサーを活用したり、試薬やサンプルの調整・検査などに使用したりと様々な目的で活躍していることも特徴です。
そもそも環境事業では多種多様な液剤を異なる条件で使用することもあり、正確に混合・吐出を再現できる自動機器の導入は属人性の解消だけでなく作業品質の維持向上のためにも有用です。また人体に有害・有毒な試薬や汚染物質を扱う上で自動機器の導入は労災防止や作業員保護の観点からも重要であり、経験の浅い作業員の事故やヒューマンエラーによる二次被害の防止といったリスク管理にも役立ちます。
反面、2液混合ディスペンサーを導入した自動設備やシステムの構築では初期コストが高額になり、回収期間が長くなりやすいといった課題も無視できません。
エイ・エム・ケイの2液混合ディスペンサー「マゼダス」の導入事例として、エポキシとウレタンの混合を自動化しつつ、メンテナンスフリーなシステムを構築することで、工場内環境にも配慮したケースが紹介されています。
従来機では硬化剤混合部の洗浄工程で溶剤を必要としていましたが、溶剤による環境リスクがありました。そこで同製品では片液置換洗浄を採用することで溶剤不要の洗浄機能を再現し、メンテナンス不要とすることで作業員の負担軽減や作業環境の安全化に貢献しています。
参照元:エイ・エム・ケイ公式HP(https://www.amk-j.co.jp/case/case01/)
ディスペンサーのポンプ部分からの液漏れは、製品の寿命を縮めるだけでなく、有害な液剤による環境汚染や作業員への被害といったリスクも増大します。エイ・エム・ケイでは独自開発したシールレスポンプを2液混合ディスペンサー「マゼダス」へ採用することで、液漏れリスクを回避すると同時に、薬剤による腐食を防止してメンテナンスフリーの環境を叶えました。
参照元:エイ・エム・ケイ公式HP(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/maintenance-free/)
製品の用途に応じてエマルジョンとトルエンという異なる液剤を様々な混合比で混合しなければならない作業環境において、手作業だけで全ての条件に対応することは容易でなく、品質の不安定化が課題でした。また溶剤などは人体にとっても有害であり、手作業による労災リスクも無視できません。
イワキの「2液混合装置」はこのような課題に対応するためサニタリーロータリーポンプとケミカルギヤポンプを採用し、さらに構成機器を全て防爆仕様とすることで作業品質を向上しつつ、作業環境の安全性も向上させています。
参照元:株式会社イワキ公式HP(https://www.iwakipumps.jp/solution/chemistry/40/?utm_source=chatgpt.com)
環境事業はそもそも幅広い分野や領域に関与する事業であり、取り扱う化学薬品や使用条件も多種多様です。2液混合ディスペンサーは幅広い液剤や試薬に対応できる上、作業環境の安全確保や作業員の負担軽減などさまざまなメリットを追求できる産業機器であり、多くの企業や工程で導入されています。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
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製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー