2種類の液体をそれぞれ適量かつ自動的に混合する2液混合ディスペンサーは、例えば工業用資材を製造する工程においても接着や塗装など様々な用途で活躍しています。
そもそも現代は製造技術が発展した一方、工業用資材の品質や基準についても厳格化されており、プロセス管理が難しくなっている点は重要です。
また慢性的な少子高齢化によって熟練の職人の退職や離職といった問題も発生しており、人の技術や経験に依存しない製造工程の確立が急務であることも無視できません。
その他にも環境負荷の軽減策としてプロセスの効率化による二酸化炭素削減や原料のロスの抑制など、SDGsを踏まえた管理体制が企業の社会的責任となっていることもポイントです。
このような時代のニーズに適応するため、FA化や生産現場のシステム化に対応できる2液混合ディスペンサーは工業用資材業界でも積極的に利用されています。
株式会社エイ・エム・ケイでは金型を使用して工業用資材を製造する工程において、2液混合ディスペンサー「マゼダスDRタイプ」を使って金型へエポキシ樹脂を自動的に充填し、その後の組立工程へ自動的に搬送するといった生産ラインのオートメーション化を実現しています。
手作業による充填や組立では製品の均一性を保つことが困難でしたが、ロボットシステムに2液混合ディスペンサーを搭載することで、金型搬送自動組立設備を一体化していることが強みです。
参照元:エイ・エム・ケイ公式HP(https://www.amk-j.co.jp/case/case05/)
株式会社エイ・エム・ケイにおける事例として、高粘度のエポキシ樹脂を円板へ均一かつ高速に塗布するといった工程でも2液混合ディスペンサー「マゼダスDRタイプ」が採用されています。
円板に対して固定されたノズルを使用した場合、樹脂剤を円板に吐出した後で、さらにハケなどを使って粘性の高い樹脂剤を塗り広げる作業が必要でした。しかしロボットシステムを搭載した2液混合ディスペンサーを用いることで、ノズルそのものを動かしながら円板へ均一に樹脂剤を塗布することが可能となり、塗布作業を簡略化できた上に塗布量や塗り厚の均一化にも成功し、さらにシームレスな量産体制の構築も実現しました。
参照元:エイ・エム・ケイ公式HP(https://www.amk-j.co.jp/case/高粘度液(エポキシ)を円板に高速かつ均一に塗/)
技術の進歩と共に製品の品質基準や安全基準も厳しくなっており、また自動化による作業効率の向上といったニーズなどにも対応できるシステムとして、2液混合ディスペンサーは工業用資材の製造現場でも幅広く活用されています。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
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製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー