2液混合ディスペンサーの運用では、A剤とB剤に空気が入り込む気泡混入が頻発しやすく、生産現場で見逃したくない重要トラブルのひとつです。気泡は硬化不良や外観不良、接着力の低下など多くの問題を引き起こすため、早期検出と原因解消が欠かせません。
ここでは、ディスペンサーにおける気泡混入の症状、起こりやすい要因、放置リスク、現場で押さえるべきチェック項目、改善のための具体的な対策について詳しく解説します。
気泡混入とは、材料供給ラインや混合部に空気が入り込み、ディスペンス後のワーク内部や表面に小さな気泡が残ってしまう現象です。症状としては、外観のピンホール・内部の空洞・封止樹脂の未充填・硬化ムラなどが代表的です。
兆候としては、吐出音の変化、材料の途切れ、ミキサー先端の色ムラ、ワーク仕上がりの光沢異常などが早めのサインになります。
材料カートリッジやタンクを交換する際に、エア抜きが不十分だと泡がラインに入ります。特に高粘度材料では抜けにくく、長い距離を移動してミキサーに到達することがあります。
ホース接続部の緩みやシール不良があると、微量の空気が連続的に吸い込まれ、結果として大量の細かい気泡が混ざります。圧送ラインの負圧ポイントで発生しやすい現象です。
圧力が低すぎると材料がスムーズに押し出されず気泡が入り、逆に高すぎるとキャビテーション状の吸い込みが発生することがあります。材料粘度とタンク仕様に応じた圧力調整が必要です。
スタティックミキサー内部に硬化残渣が付着すると流路が乱れ、気泡が破裂せずに内部へ閉じ込められます。わずかな付着でも混合の乱れにつながりやすい点に注意が必要です。
気泡混入を放置すれば、外観不良によるNG判定の増加、接着性能の低下、封止樹脂の空洞化によるクラックなど、製品の長期信頼性に大きな影響を与えます。電子部品の封止では、絶縁破壊や熱膨張ストレスによる破損につながるケースもあります。
工程面では、検査工程での追加手直し、手作業での再処理、工程遅延、材料ロスなどの問題が発生し、ライン全体の効率が下がります。
これらを確認することで、気泡の発生源を素早く特定し、正常状態へ戻すまでの時間を大きく短縮できます。
気泡混入を抑えるには、材料供給ラインの密閉性と流動性を安定させる工夫が不可欠です。ここでは実際の現場で効果が高い対策を紹介します。
材料セット時に真空引きを併用する、加温して粘度を安定させるなど、交換時のエア巻き込みを最小限にする工夫が有効です。特に高粘度材料では時間をかけたエア抜きが効果的です。
接続部の緩みやシール材の劣化を定期的にチェックし、適切なトルクで締付けることでエア吸い込みを防ぎます。経年で硬化するOリングは早めに交換するのが理想的です。
材料粘度に合わせてタンク圧力を管理し、必要に応じて材料を加温することで気泡発生を大幅に減らせます。粘度が安定するだけで吐出の連続性が改善されます。
内部残渣が気泡の閉じ込めを誘発するため、ミキサーは短い間隔で交換することが効果的です。分解可能タイプであれば短期サイクルで洗浄を行うと、混合の安定性が向上します。
気泡混入は、材料交換時のエア巻き込み、接続部の密閉不足、タンク圧力の不安定、ミキサー内部の残渣などによって発生します。小さな気泡でも品質に大きく影響するため、早期発見と迅速な対応が重要です。
エア抜き徹底・配管密閉性確保・圧力管理・ミキサー点検といった基本対策を積み重ねることで、気泡混入の発生率を大幅に低減できます。安定した吐出品質を維持するためには、日常点検の習慣化が欠かせません。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー