2液混合ディスペンサーを用いた接着・封止・ポッティング工程では、A剤とB剤の比率が規定値から外れる混合比不良が最も重大なトラブルのひとつです。比率が狂うと硬化不良や接着力の低下、外観不良など、製品品質に直結する問題が発生します。
ここでは、混合比不良が起こるメカニズム、現場で現れやすい症状、放置するリスク、確認すべきポイント、具体的な改善方法について詳しく解説します。
混合比不良とは、ディスペンサーが設定したA剤とB剤の吐出量を正しく保てず、配合比がズレる現象です。典型的な症状としては、硬化時間の変化・ベタつき・未硬化・クラック・外観ムラなどが挙げられます。
兆候としては、吐出量の微妙な揺らぎ、ディスペンサー内部圧の変動、材料粘度の変化警告、スタティックミキサーでの色ムラなどが早期シグナルとして現れます。
ギアポンプやプランジャーポンプの摩耗、逆止弁の劣化、材料粘度差によって吐出量が安定せず、比率が乱れます。特に長時間運転では微小な変化が蓄積し、明確な不良につながります。
温度変動や材料ロット差によって粘度が変わると、流動性が変化し、設定した配合比から外れます。季節差や室温管理の不十分さによって起こることも多いです。
材料容器の交換不良、配管接続部の緩み、加圧タンクの圧力不足などでエアが混入すると、見かけの吐出量が変わり、混合比が乱れます。気泡がミキサー内部で偏ることで色ムラにつながるケースもあります。
ミキサー内部に材料が残留・硬化すると混合性能が落ち、見た目では吐出量が合っていても、実際には均一に混ざっていない状態になります。材料特性が変わった際にも同様の問題が起きやすいです。
混合比不良を放置すると、硬化不良によって接着力が低下し、ワークの剥離や内部破損が発生します。特に電子部品の封止では、絶縁不良や熱サイクルでのクラックといった重大な品質問題に直結します。
さらに、生産ラインでは不良率の増加による手戻り、工程停止、ロット廃棄などの直接損失が発生し、コスト面で大きなダメージを引き起こします。
これらを確認するだけでも、混合比不良の原因を早期に絞り込み、復旧のスピードが大きく変わります。
混合比不良の改善には、材料の流動性と吐出条件を安定させる工夫が欠かせません。ここでは効果的な対策を解説します。
ポンプや逆止弁の摩耗は混合比不良の代表的な原因です。稼働時間に応じた定期交換や、摩耗の兆候を早く検知できる仕組みを導入すると安定性が大きく向上します。
粘度の季節変動を抑えるため、材料を一定温度で保持できる加温タンクやホットメルトホースが有効です。安定した流動性が確保されれば混合比誤差が大幅に減ります。
タンク加圧条件の見直し、ホース接続部の密閉性確認、材料交換時のエア抜き手順の徹底など、基本動作を徹底することでエアによる誤差を防げます。
スタティックミキサーは内部に残渣が溜まりやすく、性能低下の原因になります。ワーク仕様変更や材料変更のタイミングで交換し、清掃できるタイプなら短いサイクルでメンテするのが理想的です。
混合比不良は、吐出量の変動、粘度変化、エア混入、ミキサー性能低下といった要因で発生します。これらは一見小さな違いでも、徐々に積み重なることで重大な品質不良につながります。
ポンプ点検・温度管理・エア対策・ミキサー交換といった基本を徹底することで、混合比不良の発生を大幅に抑制できます。兆候を見逃さず、安定した配合比を維持することが、高品質な生産ライン運用の鍵となります。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー