エポキシやウレタンなどの2液性樹脂を扱う事業者にとって、2液混合ディスペンサーは数多くのメリットを得られるツールですが、一方で薬剤を混合してからの可使時間(ポットライフ)や、使用後の洗浄や消耗品交換といったメンテナンスなど、適正な運用には様々な課題があることも事実です。
自動洗浄機能付き2液混合ディスペンサーはそのような問題点を改善し、メリットを追求する方法として活用されています。
自動洗浄機能付きディスペンサーとは、ポンプを使って機器本体の混合部(ミキサー)へエアや洗浄溶剤などを送り込み、ミキサー内部や経路をクリーンな状態に保つ自動システムです。また洗浄剤の他にA剤と同じ液剤(共材)が使用されることもあり、作業現場の環境や使用条件に応じて選択されます。
自動洗浄機能付きディスペンサーには複数の洗浄方式があり、圧縮空気を使ってエアの勢いで内部を洗浄する簡易的なものの他に、専用の溶剤(洗浄剤)を使って室内を完全に洗い流すものや、A剤と同じ薬剤(共材)や混合液を流し込んで古い混合液を押し出すといったものがあります。
2液混合ディスペンサーの混合部には、モーターなどの動力を使用しない「スタティックミキサー(固定式)」と、モーターの力で攪拌羽根を駆動させて液剤を混合する「ダイナミックミキサー(動力式)」があり、自動洗浄機能にも大きく関与します。
自動洗浄を採用する最大のメリットは、使用後の洗浄やメンテナンスを自動化することで業務効率を改善し、2液混合ディスペンサーを稼働できる時間を延ばして生産ラインの稼働率を最大化することにあります。
また洗浄作業やメンテナンス作業の負担を軽減し、従業員の労務環境の改善に貢献することで、モチベーション向上や離職率の低下につながる点も重要です。
1回ごとにノズルを使い捨てて都度新しいノズルを利用する「無洗浄方式(使い捨てノズル)」では、洗浄作業を省略して液剤の品質も安定する反面、結局はノズル交換の手間がかかる上、ノズルの購入費用や産業廃棄物処理費用といったコストも増大します。
また1回で液剤を使い切らなかった場合、その分の材料が無駄になる点も問題です。
自動洗浄機能付きディスペンサーであれば、システムが自動的に必要なタイミングで、必要な手順や方法で洗浄作業を行ってくれるため、作業員の経験や知識といった属人性に頼るリスクが解消されます。また使用時には常に適切な品質の薬剤が吐出されるため、作業が安定化して生産品質の均一化を目指せることもメリットです。
硬化速度が極端に速い樹脂剤などを使用する場合、速やかな処理が必要なため自動溶剤洗浄が必須です。また主剤と硬化剤の粘度差が大きい場合などはダイナミックミキサーが推奨となります。
溶剤の使用規制があったり、防爆エリアに該当したりする場合は、共材パージ方式が対象になるでしょう。
日常的なメンテナンスフリーの製品でも、定期的なメンテナンス作業が完全になくなるわけではありません。そのため分解洗浄の頻度や各種メンテナンス作業の内容について比較検討することは大切です。
自動洗浄機能付き2液混合ディスペンサーは、手作業による洗浄を必要とするタイプや無洗浄方式と比較して本体価格が高額になりがちですが、長期的には消耗品や不良品に伴う費用を削減し人件費の見直しにも有用です。そのため単にイニシャルコストだけで考えるのでなく、まずは材料メーカーや装置メーカーに「テスト吐出」を依頼して洗浄効果や利便性を確認した上で、自社ニーズに適合する機種を検討してください。
本サイトでは2液混合ディスペンサーのメーカーとして信頼できる企業や製品を紹介しておりますので、まずはTOPページ3選をご覧ください。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー