このページでは、作業員の手作業(ハンドミキシング)から2液混合ディスペンサーへの切り換えを検討する時期について、導入費用や作業負担など複数の観点から解説します。
作業員の手作業(ハンドミキシング)による攪拌や液剤の吐出から、2液混合ディスペンサーを活用した作業環境へ切り換えるタイミングは、主に「費用対効果」・「作業品質」・「液剤の特殊性」・「労働者の負担」といった観点から考えることが大切です。
タクトタイムとは、1つの工程や製品の製造に費やす時間を指します。
作業員が手作業(ハンドミキシング)で液剤を攪拌・混合する場合、どうしても適量を計測するために時間がかかったり、十分に攪拌できるまで吐出が中断したりといった作業の停滞が発生しやすくなります。しかし、大量のワークを処理する環境ではタクトタイムが長引くほど生産量が低下してしまい、日産目標に届かないケースも起こり得るでしょう。
一方、目標達成のために作業員を増やす人海戦術で対処すると、人件費が増大して利益率が低下します。その他、主剤と硬化剤を混合してから時間がかかって、作業完了の前に液剤が硬化してしまうと、材料の廃棄ロスが増大してやはり利益率が減少します。
これらは事業収益に直結する問題であり、このような場合は2液混合ディスペンサーの導入がおすすめです。
タクトタイムを短縮しようと作業が雑になれば、液剤の混合比が不安定化して製品の品質が悪化します。また手作業で混ぜるとどうしても気泡が発生しやすくなり、強度不良や外観不良の原因になることも問題です。
その他、吐出量や塗布作業を作業員の経験やスキルに頼っている場合、疲労の蓄積や作業員の交代で作業品質にムラがでて、不良品が量産される恐れもあります。
品質の安定化には2液混合ディスペンサーの導入が有効です。
使用する液剤によっては主剤と硬化剤を混ぜてから短時間で硬化するものもあるでしょう。その場合、液剤を手作業で混ぜていると吐出に使える時間(ポットライフ)が短くなってしまい、適切な作業を行うことが根本的に困難となります。
また、高粘度樹脂や混ざりにくい液剤を人力でムラなく混ぜることは物理的に難しく、混合比が極端に異なる場合などは全体を均一に攪拌混合することも難しくなります。
そのため、そもそも手作業で対応できない液剤については2液混合ディスペンサーの導入が重要です。
日産目標へ到達させるために作業員の残業が必要になったり、属人性が高い現場では同じ作業員が長時間労働に従事しなければならなくなったりと、従業員に対する負担が増大してしまうことも問題です。また、臭気の強い溶剤や人体に有害なガスを発生する液剤を使用するような場合、作業空間の環境が悪化して、従業員の心身に深刻な影響を及ぼしかねません。
その他、特定の作業員の経験やスキルに頼った環境では、その人物の離職や休職で生産性が急激に低下するリスクもあり、労働安全衛生の観点からも長期的な事業安定化の観点からも、2液混合ディスペンサーなど適切な設備の導入が大切です。
| 現場の課題 | 手作業で生じるリスク | 2液混合ディスペンサーの導入メリット |
|---|---|---|
| 生産効率の悪化 | 生産量が目的に未達となり、人件費の増大や廃棄ロスの増加を招く | 生産効率を高めて作業安定性や費用対効果を向上させる |
| 利益率の減少 | 作業当たりの収益性が悪化し、事業の生産性が低下する | 無駄なコストを削減することで利益率が高まる |
| 特殊な液剤の使用 | そもそも人力では安定した品質を維持できない | 特殊な液剤の使用に適した環境を整えられる |
| 労働環境の悪化と技術の途絶 | 従業員の労災リスクや離職リスクが増大する | 労働環境を改善して従業員の労働意欲を高めつつ、属人性も解消できる |
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー