2液混合ディスペンサーを導入するに当たって、スタティックミキサーとダイナミックミキサーのそれぞれの駆動方式の違いや特徴について把握しておきましょう。
スタティックミキサーとは、主剤と硬化剤の混合に電力や動力を使用せず、らせん状の内部機構(エレメント)によって液剤を分割・合流させて混合する方式です。構造がシンプルであり安価なタイプが多く、また使い捨てが基本となるため洗浄などのメンテナンスが不要となります。
一方、液剤の粘度差や混合比によって十分に混合できない場合もある点は無視できません。
ダイナミックミキサーとは、内部に混合用の駆動部を有している2液混合ディスペンサーです。モーター駆動の攪拌羽根によって液剤を混合するため、粘度差や混合比の大きな場合でもしっかりと混合することが可能となります。
反面、構造がスタティックミキサーよりも複雑であり、導入コストも高くなります。また使用後の洗浄や定期的なメンテナンスといった手間が発生することもポイントです。
| スタティックミキサー | ダイナミックミキサー | |
|---|---|---|
| 混合原理 | 液体の流れ(受動的) | モーター駆動(強制的) |
| 混合性能 | △ (材料による) | ◎ (非常に高い) |
| 粘度差対応 | 苦手 | 得意 |
| 混合比対応 | 苦手 | 得意 |
| コスト | 安い | 高い |
| メンテナンス | ほぼ不要(交換) | 必要(洗浄など) |
ここではダイナミックミキサーを選択すべき代表的なケースについて紹介しますので参考にしてください。
主剤と硬化剤の粘度に大きな違いがある場合、スタティックミキサーでは十分な混合が成されないケースが想定されます。例えば水のようにさらさらとした液剤と、どろりとした粘性の液剤を混ぜる場合、スタティックミキサーでは分離しやすくなるため、ダイナミックミキサーで強制的に均一化する必要があるでしょう。
主剤と硬化剤で混合比率が極端に異なる場合もダイナミックミキサーを選択すべきです。例えば主剤が95、硬化剤が5といった割合で混合するような場合、スタティックミキサーでは硬化剤が主剤の全体に反応せず、硬化不良が起きやすくなります。
使用する液剤がそもそも混ざりにくい難混合剤の場合、ダイナミックミキサーを選択しなければなりません。具体的には液剤に粒子(フィラー)が含まれているような場合、沈降しやすいフィラーを全体に分散させるためにダイナミックミキサーによる混合が必要です。
ダイナミックミキサーを活用した事例について紹介します。
フィルター製造の工程において、生産効率を向上させるため、高粘度のエポキシ樹脂を円板へ素早く均一に塗布する必要がありました。また固定式ノズルでは液剤の吐出後にヘラを使って樹脂を塗り広げなければならず、作業者の負担になっていた点も課題の1つです。
ダイナミックミキサーを搭載した2液混合ディスペンサー「マゼダス」を導入し、可動式ノズルと併用することで、高粘度の液剤を効率的に混合しつつ、ノズルを動かして吐出することでヘラを使って塗り広げる工程を省略し、塗布作業の効率化に成功しました。
これにより作業工数を削減しつつ、製品の品質向上も叶えられています。
※参照元:株式会社エイ・エム・ケイ https://www.amk-j.co.jp/case/高粘度液(エポキシ)を円板に高速かつ均一に塗/
自動車部品の組立工程において、主剤と硬化剤でそれぞれ粘度が異なる2液性シリコーン接着剤を使用しており、スタティックミキサーでは十分な混合が行えず硬化不良が発生したり、部分的な接着強度の低下が生じたりしていました。
モーター駆動の攪拌羽根の回転数を、混合対象の液剤の特性に合わせて最適化できるダイナミックミキサー「DYNAMIC DUAL MASTER」を導入し、比重差や粘度差が大きな材料でも均一な混合を叶えられる環境を整えました。その結果、粘度差の大きな2液性シリコーン接着剤でもしっかりと混合吐出することが可能となり、2液塗布の高速タクトも実現されています。また、液剤の交換やメンテナンスに工具が不要な上、自動簡易洗浄機能を搭載しており作業全体の工数削減にも貢献しています。
※参照元:武蔵エンジニアリング株式会社 https://www.musashi-engineering.co.jp/products/two-component-dispensing/dynamic-dual/D-MSD-3
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
| 製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
|---|---|---|---|
吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー