ディスペンサーは、主に液体を吐出する装置を指す言葉です。分配を意味する英単語「dispense」が語源とされています。しかし、ディスペンサーは種類がとても多く、液体を吐出する装置に限りません。私達の身の回りにあふれている装置で、とても身近なところにもディスペンサーが存在します。
身近なディスペンサーには以下のものがあります。
ATMやシャンプーボトルなど、日常的に使用されている製品もディスペンサーに該当します。
2液混合ディスペンサーは、2種類の液体(主剤と硬化剤)を吐出するディスペンサーのことです。主に製造業を始めとする産業分野で用いられています。通常のディスペンサーとは違い、2つの液体を撹拌・混合してから吐出できるのがポイント。グリスや接着剤、ポッティングなどの材料をターゲットへ正確に塗布することが可能です。
2液混合ディスペンサーのメリットは、幅広い分野で使用できる点にあります。2液混合ディスペンサーは種類が多く、さまざまな液体に対応しています。そのため、個々のニーズに合わせて導入することが可能です。また、吐出精度が高く、スピーディに吐出できるのもメリット。製品のクオリティを確保しつつ、生産・製造効率を向上させられます。
2液混合ディスペンサーは、主に自動車部品の製造や電子部品の製造で用いられています。また、医療機器や医薬品、食品製造などに用いられているのも特徴。塗布や充填などの作業が必要な分野で広く利用されています。
2液混合ディスペンサーで使用する液体は、種類によって性質が大きく異なります。例えばエポキシは高い電気絶縁性や耐水性を備えており、アクリルは高い強度を有しています。2液混合ディスペンサーを選ぶ際は、液体の性質を考慮することが重要です。
2液混合ディスペンサーで使用する
液体の性質
について詳しく知る
2液混合ディスペンサーには、プランジャー方式や容積計量方式など多彩な吐出方式があります。吐出方式によって用途の向き不向きがあるため、導入目的に合わせて選ぶことが求められます。導入を検討中の方は、ぜひ違いをしっかり覚えておきましょう。
2液混合ディスペンサーを選ぶ前に、まず導入の有無を決めておきましょう。導入を決めたら、次に使用する液体の種類を検討する必要があります。液体が決まったら、2液混合ディスペンサーを取り扱うメーカーへ相談し、適切な製品を提案してもらいましょう。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー