電子部品や食品、医療機器など、さまざまな業界で利用されている2液混合ディスペンサー。このページでは、2液混合ディスペンサーに関するFAQをまとめています。液だれ防止の方法やポンプとの違い、ディスペンサーノズルの種類などを把握したい方はお役立てください。
ディスペンサーが液だれする主な原因は表面張力です。吐出する液体の表面張力が弱いと、ノズルから垂れてしまうことがあります。また、ノズル・パイプのサイズが合っていない時も液だれのリスクが高まります。
ディスペンサーの液だれを防ぎたい方は、吐出する液体の種類に合ったノズル・パイプを選びましょう。吐出する液体に合わせ、使用環境の温度を管理・調整することも大切です。
ディスペンサーは液体を計量して吐出する働きを持つ装置で、液体の塗布や充填などの用途に使われています。一方のポンプは、液体や気体を押し出す部品の総称です。プランジャーポンプやスクリューポンプを始め、さまざまな種類が存在します。ディスペンサーには、内部の部品や周辺機器としてポンプが取り付けられていることもあります。
ディスペンサーノズルは、ターゲットに液体などを吐出する役割を持つ部品のことです。ルビーノズルやセラミックノズルなどの種類がありますが、材質や形状のバリエーションは多岐にわたります。
ディスペンサーノズルは、使用する主剤・硬化剤の種類に合わせて選ぶことが重要です。ただし、目的・用途も考慮しておきましょう。
スタティックミキサーは、液体の流速を活用して撹拌・混合するミキサーのことです。ミキサー内を液体が通り、その過程で液体の撹拌・混合が行われます。駆動部がないシンプルな構造の一方、液体を均質化しやすいよう液体の通り道複雑な形状にしているのが特徴。モーターが不要なため、ランニングコストを抑えられるのも魅力です。
ダイナミックミキサーは、モーターの力で液体を撹拌・混合できるミキサーをいいます。スタティックミキサーとは違って内部に駆動部があり、羽根を回転させることで液体を撹拌・混合する仕組みです。
ダイナミックミキサーは構造が複雑な反面、スタティックミキサーよりも幅広い液体を撹拌・混合できるのがメリット。流量のコントロールも容易です。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
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製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー