2液混合ディスペンサーの中でも特に、シーンに応じて持ち運び可能なポータブルタイプや、様々な場所に設置しやすい小型タイプは幅広い業界で活躍しています。
ポータブルタイプや小型タイプにも色々な種類やありますが、例えば2液一体となっている専用カートリッジをエアー式の吐出ガンに固定し、任意のポイントへ混合吐出できるものは一般的です。また異なる液剤をそれぞれカートリッジとして固定し、任意の配合比で混合・吐出するといったこともできます。
ポータブルで解決する
2液混合ディスペンサーの課題
について詳しく知る
自動車業界や工業用資材・建材業界など、大型製品の量産に対応した製造ラインへ組み込める2液混合ディスペンサーも人気です。また半導体や制御用機器など製品サイズは小さくとも、生産ラインとして大型化されている環境に設置することが前提の2液混合ディスペンサーもあり、どのような用途で活躍するのかによって様々な機能や特性を搭載できることは強みです。
機器の故障やトラブルによるライン停止は損失や被害の拡大につながるため、メンテナンス性や安全性を重視されることも特徴です。
量産ライン構築のための
2液混合ディスペンサー
について詳しく知る
主剤と硬化剤をそれぞれミキサーノズルへ注入し、ノズル内で攪拌・混合した上で材料を吐出するタイプとなります。しっかりとした攪拌や混合を行えることから発泡剤や樹脂剤のように緻密な混合を必要とする場面に適しており、またミキサーノズルを使い捨てにすることで吐出後の洗浄作業を省略し、メンテナンス性や業務効率性も高められる点が強みです。
アタッチメントを交換することで用途や液剤に合わせて吐出方法を変えることもできます。
取り扱う液剤の粘度に合わせて最適化されているタイプの2液混合ディスペンサーです。例えば低粘度の液体を主として混合するものと、中~高粘度の液剤を主として混合するものでは、混合の方式や攪拌の速度などでそれぞれ適切な設定が異なることも少なくありません。また低粘度タイプでは液体の漏出防止や吐出量の正確な調整機能が採用されていたり、中~高粘度タイプでは液剤の混合攪拌や吐出に必要なパワーを得られる設計になっていたりすることもあります。
異なる粘度の液体や幅広い粘度の液剤を、任意に組み合わせて混合攪拌できる成分混合タイプも人気です。
粘性や密度の異なる液体・液剤を使用する場合、単なる注入時間や注入パワーの設定では諸条件の混合に対応困難となるため、適切な混合比や配分率を再現するために液体の体積や重量などによって計量を行うポンプシステムが重要となります。
実際にどのような液剤に対応可能かについてはあらかじめ確認が必要です。
自動機器やロボットシステムによる自動生産環境に対応できる2液混合ディスペンサーです。自動化された生産ラインの一部として組み込まれたり、ロボットシステムと連携して液剤の混合攪拌から吐出、さらに品質管理工程まで対応できるよう複数の機能を搭載していたりと、業界のニーズや製品の特徴に応じて色々な製品が考えられます。
また液剤の自動供給や自動洗浄といった自動メンテナンス機能などもFAニーズには必要です。
2液混合ディスペンサーの導入には初期コストやランニングコストといった費用面での課題があり、また取り扱う液剤の種類や量について制限をなくそうと最初から多品種・大量対応できるタイプを導入することは経済的なリスクを増大させます。
そのような場合に備えて、メーカーによってはクライアントのニーズに合わせた2液混合ディスペンサーのリースや、サブスクリプション方式による提供といったサービスを用意していることもあります。
自動洗浄機能付きタイプとは、文字通りポンプやタンク内の液剤や液体について、2液混合ディスペンサーが自動的に洗浄を行い、作業員によるメンテナンスの負担を軽減してくれる製品です。
自動洗浄機能付きタイプの2液混合ディスペンサーは単純に作業員の業務負担を緩和して作業効率を向上させるだけでなく、人体にとって有害な溶剤や溶媒に作業員が触れなくて済むようゾーニングを行い、業務中の安全対策や作業環境の健全化に貢献できることもメリットです。
防爆仕様とは、可燃性の物質による火災や爆発の防止対策が組み込まれた仕様であり、2液混合ディスペンサーとしても例えば引火性の高い溶剤や可燃性のある溶媒を使用する場合などにおいて、防爆仕様タイプが必要になることもあります。
なお防爆仕様には複数の構造があり、適切な防爆仕様タイプを導入するためには前提としてどのような液体を使用するのか、また作業条件や目的も含めてメーカーと打合せを行い細かくプランニングしておくことが不可欠です。
液体の組み合わせによって必要なスペックが大きく異なる2液混合ディスペンサーだからこそ、使う目的によって装置を選ぶことが第一歩。
そのため、ここでは使用する環境や製造する製品から、適切な2液混合ディスペンサーをご紹介しています。
電子部品など
正確な吐出が必要なら
エイ・エム・ケイ |
大量生産品など
配合比がシンプルなら
ナカリキッドコントロール |
分析機器など
微量吐出を重視するなら
日本ソセー工業 |
|
製品名 | マゼダスDタイプ
![]() 引用元:エイ・エム・ケイ公式HP
(https://www.amk-j.co.jp/mazedas/d-type/) |
比率固定式HR-50
![]() 引用元:ナカリキッドコントロール公式HP
(https://www.nlc-dis.co.jp/products/double/hr50.html) |
STP-150
![]() 引用元:日本ソセー工業公式HP
(https://www.sosey.co.jp/product-list/supershot2/stp) |
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吐出精度
液体を吐出する精度を指します。メーカーによって保証値(カタログ上のスペック)と実績値が異なります。また、公表していないメーカーも中にはあります。 |
実績値:±0.1% (※吐出条件、樹脂仕様により要相談) |
高精度 ※詳細記載なし |
保証値:±1% |
混合比率
2液混合ディスペンサーで対応している主剤と硬化剤の割合のことです。主にミキサーとポンプの種類によって混合比率や調整の可否が変わります。 |
100:100~100:1 | 100:100~100:4 | 記載なし |
吐出速度
2液混合ディスペンサーが主剤と硬化剤を吐出するスピードのことです。カタログ上の吐出速度が速いと、ターゲットへスピーディに液体を吐出できます。 |
0.01ml/s~190ml/s | 記載なし | 0.0050ml/s~0.30ml/s |
適応粘度
2液混合ディスペンサーが対応している液体の粘度のことです。カタログと異なる粘度の液体を使用した場合、液だれやノズル詰まりなどを引き起こすおそれがあります。 |
1~100,000mPa・s/25℃ | 1~100,000 mPa・s/25℃ | ~200,000mPa・s |
吐出量
1秒間に吐出できる液体の量を指します。吐出量を細かくコントロールできる装置は精度が高く、製品の品質向上にも寄与します。 |
0.007ml/shot(1秒)~無制限 | 2.5~294 ml/shot | 記載なし |
吐出方式
液体を吐出する方法のことです。2液混合ディスペンサーは、連続的に液体をターゲットへ吐出する連続吐出と、その都度充填・吐出を行う間欠吐出があります。 |
連続吐出/ワンショット吐出/定量吐出/繰返し吐出/他機連動吐出 | 間欠吐出 | タイマー吐出/手動(連続)吐出 |
タンク容量
液体を貯めておくタンクの容量です。製品によって容量が大きく異なります。2液混合ディスペンサーは、主剤・硬化剤それぞれに独立したタンクがあります。 |
各15L・30L・50L・60L・ 80L・100L・200L ※A液・B液タンクの組み合わせは自由 |
20Lオープンタンク (ステンレス製) |
4L耐圧ガラスタンク×2基 |
公式HP
掲載の 対応液体例 2液混合ディスペンサーで利用できる液体の種類です。製品によって対応している液体の種類が異なるため、選定時はしっかり確認する必要があります。 |
記載なし | ||
【選定条件】
Googleで「混合吐出装置」と検索し(2024年5月16日調査時点)検索結果全ぺージに表示された公式HP14社、イプロスの「混合吐出機」ページ掲載企業の計18社を調査。
そのうち、2液混合ディスペンサーを扱う15社の中から、以下の条件で3製品を選定しています。
・マゼダスDタイプ…15社の製品のうち、吐出精度の保証値が±2~3%以内、実績値が±0.5%以内で最も高い2液混合ディスペンサー
・比率固定式HR-50…15社の製品のうち唯一、シンプルな構造により低価格化を実現と記載のある2液混合ディスペンサー
・STP-150…15社の製品のうち、吐出量が最も少ない2液混合ディスペンサー